「暑い!」と私たちが思うとき、どんな行動をするでしょうか?
①服を脱ぐ
②クーラーをつける
③扇風機を回す
④かき氷を食べる
⑤逆に熱いチゲ鍋を食う
等々、色々と行動を起こすと思います。
更に、自分でこれらの行動を実行するだけでなく、例えば「クーラー1度さげてーや」と他の人に頼むこともできます。また、それに対して「嫌、私寒いねん」と断ることも出来ます。
もし、このような行動や表現のレパートリーが少ないと、私たちの日々の生活はどのような感じになるのでしょうか。
日々、HEROESで支援の場に関わらせていただきますと、このような行動や表現のレパートリーの少なさからくる困難さを目の当たりにすることがよくあります。
例えば、Aさん。
このAさんは、お仕事中に、突然手を叩き始めます。表情はニコニコしています。スタッフは思います。「休憩したいのかな?」そこで休憩スペースに戻っていただこうとします。すると、お仕事をやめて、同じニコニコな表情で休憩スペースへ戻られます。
次のお仕事の時間、Aさんは同じように手を叩き始めます。スタッフは思います。「休憩したいのかな?」そこで休憩スペースに戻っていただこうとします。すると、今度はお仕事を続けたいご様子です。そして、全てのお仕事を穏やかにやり終えます。
「ん?…」スタッフにはわかりません。全く同じ行動や表現をされているにも関わらず、Aさんの要求していることは、同じではないのです。
もしAさんが「眠い」(から寝に行く)「休憩したい」(から休憩スペースに戻る)「この仕事つまらん」(からやめる)「仕事量多い」(から一部やめる)等々、表現や行動のレパートリーがあれば、もう少し楽に生活ができるのではないかと思います。
しかし、私たちの仕事は、「もっと色々表現してくれたらいいのになあ」と願うことではなく、例えばAさんの行動について、その行動が、一体どのようなことを私たちに伝えようとしているのかを明確にし、もっと簡単で伝わりやすい表現があるということを伝え続けることです。言うは易く行うは難し。
所長は言うでしょう。「困ってるのは誰?」
私は答えます。「Aさんです」
所長「で、頑張らなあかんのは?」
私「私です!」
頑張れ!俺!
牧得生